2011/02/10
子供と大人の大きな違いに関して、何よりも子供の場合は成長発育の途中であるということです。子供の矯正治療はこの成長を利用できるところにメリットがあります。
顎の骨の大きさを矯正力で促進したり抑制したりすることがある程度可能であったり、特に歯並びの幅を拡大する際には大人よりもはるかに多く拡大できます。
これらが可能なことで子供の場合は成長期の矯正治療で歯を抜くリスクを低くすることができたり、後の治療を楽にできることが多くあるのです。
それに対して大人、成人の場合は骨の成長を利用した矯正治療は期待できないため歯の移動のみによる矯正治療が主になります。
子供のように骨(土台)からの拡大はできないものの歯の移動により多少の拡大は可能です。またIPR(Interproximal enamel reduction)といって歯の隣り合う面を左右0.5mm以内ずつスライスカット(擦り落とし)してスペースを獲得して歯を並べる方法もあります。大人の場合もこのような方法を利用してできる限り歯を抜かない治療計画を考えます。
しかしながらこのような手段を利用しても歯並びを改善できない場合、前歯の突出や受け口を改善できない場合、歯並びだけでなく噛み合わせを良好に保てない場合は抜歯をしての矯正治療をおすすめしております。その判断のために矯正治療に先立って精密検査はとても重要になります。
目的は歯を抜かない矯正治療をすることでもなく、ただ歯を並べることでもありません。上下の噛み合わせを十分に考慮して
①機能的な歯並び・噛み合わせにすること
②それだけでなく美しい口元、顔かたちにすること
③将来的に健康な歯、歯周組織が維持できるようにすること
④これらが出来る限り長期に安定するような状態にすること
が目的です。
2011/01/26
不正咬合の原因が気付かれず放置されてしまい、大人でも子供でも症状がかなり悪くなってから矯正治療の相談を受ける場合があります。
とくに成人の方は子供のうちに何かしらの対処、予防処置をしておけば症状がひどくならずに簡単な治療で済んだのにと思うことも少なくありません。できるだけ早くに不正咬合になるような原因を見極め、その原因をひとつひとつ取り除くことも矯正治療だと考えております。
そういった意味では、子供の矯正治療こそが本当に必要な矯正治療なのかもしれません。
矯正装置で歯並び・噛み合わせを改善するだけが矯正治療ではありません。おやつや食事の時間・摂り方、歯磨き、不正咬合に結び付くような習癖など生活習慣に関わることを改善することもまた矯正治療のひとつです。
気をつけなければならないのは子供は成長発育の途中ということもあり、常に変化することです。
悪くなる原因を放っておけば程度がさらに悪くなる場合がありますし、逆にあるきっかけで良くなっていきます。子供の矯正治療で重要なのはこの成長を利用することです。
また不正咬合の予防は何よりもまず虫歯の予防です。
そして不正咬合を引き起こすような悪習癖や原因に早く気づいて対処してあげることが大切です。
生活習慣は必ずお口の中にも表れてきます。
歯並び・噛み合わせがひどくなる前に少しでも何かお役に立てることがあれば幸いです。
虫歯になりやすい部分は?ご存じですか?
2010/11/25
矯正治療の相談でいらっしゃる方は様々な悩みをお持ちです。
たとえば前歯が出ている(上顎前突:じょうがくぜんとつ)と悩んでいらっしゃる場合でも次のようなパターンがあります。
・上顎の骨が大きい場合
・逆に下顎の骨が小さくて相対的に前歯が出ているように見える場合
・顎の大きさにはあまり問題はなく歯だけが前に傾いて出ている場合など
またこれらの状態が複雑に絡み合っている場合も多々あります。
逆に下顎がでている反対咬合(はんたいこうごう)の場合でもその成り立ちは様々です。
また顎の大きさだけでなく、その成長する方向も様々です。
矯正治療を始める前にはこれら顎の大きさ、角度、成長方向、歯の傾き、その他様々な項目を確認することが必要です。
噛み合わせの症状が似ていても原因が異なれば治療方法も異なります。体の病気と同じようにどこに問題があるのかを確認してから治療を行う必要があります。
そのため矯正治療を行う前には詳しい検査が必要になります。
そしてその検査の結果を読み取るために経験と知識が必要であり、矯正歯科が専門科目であることが多いはそのためです。
レントゲンや歯型、顔や口の中の写真などの資料を揃えることに加え、さらに全身の健康状態や歯並び・噛み合わせに関係するような習癖、食習慣や嗜好品などについてまでお聞きする場合があります。
それらを総合的に判断(診断)して、
①機能的な歯並び・噛み合わせ
②それだけでなく美しい口元、顔かたち
③将来的に健康な歯、歯周組織が維持
④これらが出来る限り長期に安定するような状態
を達成するためにはどのようにしたらよいかを検査資料から治療計画を考えます。
また患者さまのご希望も踏まえ、治療計画はひとつだけでなく複数になることも多々あります。
良い結果を出すためには
・歯を抜かない(非抜歯)計画がよい場合もありますし、
・逆に抜歯した方がよい結果につながる場合もあります。
・また装置によっても異なってくる場合があります。
但しこれらは治療の手段であって、あくまで治療の目的は①~④の項目をできる限り良い状態にすることです。
そのためには私たち歯科医師・矯正歯科医の治療に加え、患者さま自身の治療内容に対するご理解、毎日のホームケアが大変重要になります。
矯正歯科医と患者さま、お子さんの場合は保護者の方も協力して頂き治療を進めることが良い結果、素敵な笑顔につながる秘訣です。
2010/10/21
矯正治療の相談を受けていると、矯正治療は子供のためだけと思っている方がまだいらっしゃるようです。
最近ではむしろ成人の方で治療を受ける方が増えており、子供の矯正と同様に大人の矯正もだいぶ一般的になってきたと思います。
20~30歳代の方はもちろんのこと、最近は40~60歳代の方で治療を受けられる方も増えています。
口の中の状態について関心を持たれる方が多くなってきたのでしょう。
やはり若い方の多くは見た目を気にされて矯正治療を受けられます。
40~60歳代の方で矯正治療を受けられる理由としては歯並びや噛み合わせを改善することで虫歯や歯周病から自分の歯を守り、できる限り自分の歯を多く残したいと考えていらっしゃる方が多いようです。
まさに矯正治療の本質を突いた理由だと思います。流石です!
お子さんも若い方も皆、自分の歯で一生を過ごしたいものですね。