従来の舌側矯正(裏側矯正)は、「唇側矯正(表側矯正)に比べて違和感が強く喋りにくい」「唇側矯正(表側矯正)に比べて時間がかかる」と言われていました。しかし、治療技術の進化により違和感や負担が少なく、しかも唇側矯正(表側矯正)と効果の変わらない舌側矯正(裏側矯正)が実現しています。そのため当院では、患者さまの7割以上の方が舌側矯正(裏側矯正)を選択されています。
歯並びを治したいが装置が目立つのが嫌で矯正治療に取り組めないという方や、職業柄、唇側矯正(表側矯正)は業務に支障をきたす方がいらっしゃいます。そうした方々にも、舌側矯正(裏側矯正)できれいな歯並びを手に入れていただきたいと願っています。
「カスタムメイド舌側装置(インコグニト)」とは、外から見えない舌側矯正(裏側矯正)の治療法の一つで、CAD/CAM先端技術を用いることにより、患者さま一人ひとりの歯並びに合わせて正確な位置に並べられる画期的な歯列矯正法です。複雑な歯の形状にもフィットするため脱離しにくく、金合金のブラケットは非常に薄く設計されているため、発音に対する影響が従来の装置に比べると少なくなり、患者さまの負担がとても少ないのが特徴です。
精度が高く違和感が少ない
カスタムメイド舌側装置(インコグニト)では、個人の歯にフィットした超薄型のブラケットと、きちんと寄り添うよう加工したワイヤーを使用します。手作業では作れない精巧な装置なので、違和感や話しにくさを最小限に抑えることができます。
従来、石膏模型上で行われている装置作製の作業ですが、カスタムメイド舌側装置(インコグニト)ではデジタル技術を用いて設計することで装置の精度がかなり高くなりました。
装置の設計・製作はコンピューター上で行われ、既製品の装置と異なりフル・カスタム・メイドで製作します。患者さまごとに適した装置ができ上がるため、精度が非常に高いのが特徴です。
装置製作のために取った歯型をコンピュータでスキャンします。
取り込まれたデジタル上の歯型で歯並びを整え、装置を設計します。
このようなデジタル技術を用いた装置の設計・製作はヨーロッパやアメリカを中心に普及しています。当院もヨーロッパ(ドイツ)に製作を依頼しております。装置の精度が向上することで治療の精度も向上し、治療期間の短縮にも結び付いています。
装置の性能や精度の改良についてはもちろんですが、患者さまにとって少しでも快適になるような修正も度々加えられています。たとえば装置の厚さを薄くできるところに関しては薄くしたり、角を丸めて舌に擦れにくくなるようになどの修正がなされています。
元々カスタムメイド舌側装置(インコグニト)は裏側の装置として厚さが薄く設計されており、装置を装着した後も「思ったより違和感が少ない」「発音がもっと苦労すると思っていたけど大丈夫かも」といったご意見を頂き、患者さまに大変好評です。
ドイツの研究機関の調査報告では、カスタムメイド舌側装置(インコグニト)で治療した患者さまの虫歯発生率は、唇側の矯正装置で治療した患者さまの約1/5という結果でした。つまりカスタムメイド舌側装置(インコグニト)は虫歯になりにくい事が結論です。
理由は、舌側矯正(裏側矯正)は歯の裏側に装置がついているので唾液で洗い流されやすいことや、カスタムメイド舌側装置(インコグニト)のブラケットベースと歯との境界部がスムーズに移行しているため、歯につく汚れが付着しづらい、さらに正確にフィットするように作られた装置なので、装置と歯の隙間がほとんど生じないことも理由の一つです。
矯正治療に適した10代から20代の若い方は、歯磨きが行き届かず虫歯になりやすい傾向にありますので、虫歯予防という点からもカスタムメイド舌側装置(インコグニト)はお勧めできます。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
未承認医療機器の使用について
●未承認医薬品等の使用・国内の承認医薬品等の有無について
マウスピース型矯正装置(インビザライン®)およびカスタムメイド型リンガルブラケット矯正装置(Incognito®)は、医薬品医療機器等法において承認を得ていない医療機器になります。医薬品医療機器等法の承認を受けておりませんので、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
インビザラインのサポートソフトであるクリンチェックおよび光学スキャンに用いているこう口腔内スキャン装置iTero Elementは医薬品医療機器等法上の承認を得ています。
●入手経路について
マウスピース型矯正装置(インビザライン®)は米国アライン・テクノロジー社(Align Technology, Inc.)の製品となります。当院ではインビザラインシステムを、グループ会社のインビザライン・ジャパンから入手しております。
カスタムメイド型リンガルブラケット矯正装置(Incognito®)は、米国3M Unitek社の製品です。当院ではグループ会社である3Mジャパン社を通じて入手しています。
●国内の承認医薬品等の有無の明示
マウスピース型矯正装置はインビザラインの他にも様々な種類があり、その中には国内で薬事承認を得ているマウスピース型矯正装置もあります。
リンガルブラケット矯正装置として国内で承認された、Incognito®と同様の医療機器があります。
日本国内で医療機器と認められるためには、薬事承認されている材料を使用して、日本の国家資格を持った歯科医師または歯科技工士が製作したもの(歯科技工物)・薬事承認された既製品である必要があります。海外で製造されているマウスピース(インビザライン®)、リンガルブラケット矯正装置(Incognito®)はあてはまりません。
●諸外国における安全性等の情報
インビザラインは、全世界で800万以上の症例数を持つ治療システムです。(2021年時点)
歯科矯正の一般的な個別のリスク以外でインビザラインに特有の重大な副作用の報告はありません。
Incognitoは世界の90か国以上で採用され、ヨーロッパでのシェアは 60%以上です。(2019年時点)これらの国において、重篤な副作用の報告はありません。