矯正治療は、以前に比べてずいぶんと身近なものになりました。矯正歯科治療は、もはや子供だけの治療ではありません。
最近では、ビジネスマンやOLの方、50~60歳代の方など男女問わず、美と健康を意識して「大人の矯正」を始めるかたが増えています。
歯並びが悪くて人と話をするとき、いつも口元を気にする、あるいは手で隠してしまう…。歯並びがコンプレックスになっていませんか?
最近、大人になってから矯正治療を受ける方が増えています。美しい歯並びと「キリッ」と引き締まった口元になり、どの患者さまも自信を取り戻します。今までデコボコになっていた歯を正しい位置に戻すだけで、顎がスッキリしたり、鼻を高く見せたり、あるいは口元に若々しさを取り戻すことさえできるのです。
「出っ張った顎が気になる」「口元の突出感がずっとコンプレックスになっている」という方は、ぜひ当院までご相談ください。
この方の場合は、歯を抜かないで治療するとでこぼこが改善するに従って前歯はさらに前方へ出てしまい、さらに口元は突出してしまいます。治療後は前歯の突出感もでこぼこも改善し、口元の突出感も改善しています。
上と下の歯がキッチリ噛み合わないと食べ物がよく噛めず、胃や腸に負担をかけてしまいます。また顎や顔の成長、発音に悪い影響を及ぼします。それだけでなく、顎の関節や筋肉にも影響を与え、肩こり・頭痛を引き起こし、姿勢が悪くなるとも言われています。
矯正治療で歯並びが整い、噛む機能が回復すると、大切な歯を虫歯や歯肉炎・歯周病から守り、歯の寿命を延ばすことができます。近年、咀嚼力と脳の関係の研究が進み、しっかり噛むことで脳の血流が良くなり、記憶力が向上した、瞬発力が高まることが分かってきました。
≪過蓋咬合でよく起こるトラブル≫
上の前歯が下の前歯に覆いかぶさる量が大きいので下、の前歯が上の前歯に強くぶつかり、上の歯が突き上げられることが多く、よく上の前歯にトラブルが生じるのがこの噛み合わせです。
過蓋咬合(左写真)、少し開いた状態で撮影(右写真)上下の前歯が強く擦れあうことが多く、歯が不自然な形に削れてしまいます。削れてしまうことで歯が薄くなってしまい、歯の先端が欠けてしまうこともあります。
そして年齢とともに前歯が前に出てしまい、いわゆる出っ歯になってしまって前歯の真ん中に隙間が生じてくることがあります。40~50代からよく見かけるケースです。
また歯の治療をしても被せ物がよく外れてしまったり、壊れてしまう方もいらっしゃると思いますが、このような噛み合わせに原因があることが多々あります。
≪開咬でよく起こるトラブル≫
奥歯でしか咬み合わない場合です。噛む力を奥歯ですべて負担してしまうので、奥歯によくトラブルが生じます。
奥歯のみ咬み合いすり減ってしまっている。奥歯が悪くなっていくことが多い。奥歯のみが平らにすり減ってしまう。
奥歯にクラック(亀裂)が入ってしまい、そこから虫歯になりやすくなる。
治療した奥歯の詰め物、被せ物が割れてしまう、壊れるなどが起こりやすい。
結局、何度も治療した末に歯を抜かなければならなくなる。
その結果、入れ歯やインプラントにするが、それらもまた悪くなってしまう…
このような悪循環になりやすいのが開咬という噛み合わせです。
歯が悪くなってしまう理由には様々な原因がありますが、このような噛み合わせが原因で歯が悪くなってしまっている方も診療をしていてよく見かけます。若いうちは抵抗力があってなんとかなってしまっているのでよいのですが、年齢とともに噛むことに支障がでて健康に影響します。
歯が悪くなったら削ったり抜いて治すのが日本ですが、歯が悪くならないように予防したり、歯並び噛み合わせを治したり、メインテナンスをとても大切にしているのがヨーロッパやアメリカです。
ですが最近では日本でもこのことに気づいて治療に来られる患者さまも増えているのを感じます。大人、子供を問わず予防やメインテナンスを重視した治療に力を入れていきたいと思っています。
これからは悪くなったら治すのではなく、未然に悪くならないようにするための治療や予防処置、メインテナンスが大切です。
顎の成長が終わった15歳以上の方で、骨格的に著しいズレを伴う受け口や出っ歯または、顎の歪みがある方は、矯正治療だけでは、良い噛み合わせや美しい口元にならない方がいます。
このような方は、矯正治療と外科的な手術を併用することにより、機能的ならびに審美的に優れた治療効果を上げることができます。
当院では、外科手術が伴う場合、できるだけ早く主訴を改善するために術前矯正は行わず、症状によっては手術を先行して行い、矯正治療は術後に開始できる場合もございます。なお、噛み合わせや歯の並び具合によっては、術前矯正を進めた方がよい場合もありますので、ご相談ください。
<術前矯正治療の期間について>
受け口の程度が顕著で矯正治療だけでは治療困難な場合、手術を含めた外科矯正治療が必要となります。まずは外科矯正治療についての流れについて概略をお話します。
1:外科矯正治療精密検査
各種レントゲン、顔写真、お口の中の写真、歯型、下顎の動きの検査などを行います。
2:診断
現在の状態と治療計画のご説明します。
3:治療の開始
手術に先立ち、ワイヤーの装置(マルチブラケット装置)で術前矯正治療を行います。
※術前矯正治療とは、受け口を手術で改善した時に、上下の歯並びができる限り咬み合うようにするための矯正治療です。術前矯正治療の期間をよく聞かれますが、患者さまによって受け口の程度やでこぼこの程度、咬み合わせの状態が異なるので期間はそれぞれなのですが、通常半年から1年程度になると思います。
4:受け口改善のための手術
全身麻酔下での手術で、1週間程度の入院が必要です。
5:術後矯正治療
手術後に上下の噛み合わせをさらによく咬み合うようにするための矯正治療です。期間は状態により異なり数ヶ月から1年程度です。
6:保定
並んだ歯並びを良好な状態に維持するためにメインテナンスを行います。
当院での外科矯正治療の特徴
受け口や顔の歪みで悩んでいらっしゃる患者さまは一刻も早くその状態を改善したいと思っています。しかしながら手術の前に術前矯正が必要と知るとがっかりされる方も多いです。術前矯正の期間は患者さまにとっては辛い期間となります。
そこで当院ではそのような患者さまの精神的な負担を少しでも軽減したいと思い術前矯正治療を行わない外科矯正治療を行っております。ただし精密検査を行い術前矯正治療が可能と判断した場合に限って行っております。術前矯正治療を行わなければならない場合も極力短期間で行うようにしております。矯正治療および受け口治療の手術代は自費になります。
美意識の高い韓国ではこのような方法が主流になりつつあります。治療にあたっては外科矯正を多く手掛けてきた専門の口腔外科医、一般治療を含めインプラントを専門とした口腔外科出身の歯科医師、また韓国の矯正歯科に勤務していた技工士で連携をとりチーム医療で治療を行っております。
≪手術を先行した術前矯正治療なしの外科矯正治療例1≫
術前の横顔は受け口、正面では下顎が左に曲がっています。口の中の写真も下顎が前に出た状態で、下顎の真ん中が左にずれた状態です。
患者さまはとにかく早くに受け口を治したいとのことで先に手術を行う方法を希望されていました。矯正治療のための精密検査を行い、また口腔外科の先生とのディスカッションの末、先に手術を行い術後に矯正治療で噛み合わせを改善することが可能と判断しました。
右の写真は術後1ヶ月半の状態です。受け口および下顎の左へのズレも改善しています。術後矯正治療の開始後3ヶ月目の写真ではさらに上下の歯の真ん中が改善しています。
今回、手術を先行した治療方法をご紹介しましたが、噛み合わせの状態や歯のでこぼこ具合によっては、先に術前矯正を行い治療を進めた方が良い場合もあります。矯正治療のための精密検査を行い、どのような方法が良いかを検討することが重要です。お悩みの方は一度検査を行うことをお勧めします。
術後のスマイル!!装置は歯の色に近いジルコニアブラケットで矯正治療を開始
下は矯正治療終了時のスマイル。とてもとても素敵な笑顔でした!!
≪手術を先行した術前矯正治療なしの外科矯正治療例2≫
左:術前 右:術後矯正治療中
術前矯正は行わずに手術を先行して受け口を改善後に矯正治療を開始しました。上顎は裏側の装置で術後矯正を行っております。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について