歯の表面にワイヤーを装着する矯正治療は、口を開けたときに目立ってイヤという声をよく聞きます。最近では目立ちにくい装置が登場し、人目を気にしない方も増えています。
当院では目立ちにくい矯正治療を行うために、幅広い矯正装置を取り揃えています。取り扱っている装置は半透明あるいは歯の色に近いセラミックやジルコニア、透明度の高いサファイアなど目立ちにくいタイプの装置、さらにワイヤーに関してもホワイトのものを用意しています。
また歯の裏側に取りつけ見えない“舌側矯正装置”、取り外しができて透明な“マウスピース矯正装置”など多種多様です。しかも治療効率のよい装置を厳選し、幅広い選択肢の中から、ご希望やライフスタイルに合った装置をお選びいただけます。
装置を決めるときは各装置の特徴を説明し、歯並びや噛み合わせ、症状の程度などを基準に、ご要望なども伺います。それらを総合的に判断しながら最適と思われる治療方法をいくつかご提案。その中から患者さまにご希望に合った装置を選んでいただいています。
<当院の目立ちにくい装置の特徴>当院が扱う目立ちにくい矯正装置
目立ちにくいワイヤー矯正装置
裏側矯正装着リンガル・ブラケット
透明で目立ちにくい矯正装置マウスピース型矯正装置(インビザライン)
治療期間を短縮 歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正
セラミック・ブラケット
従来の金属製のブラケット(歯に取り付ける矯正装置)に加え、メタル部にセラミックを使用した目立ちにくい矯正装置です。この装着は白いセラミック(陶磁器)でできているので目立ちにくく、白い歯によく馴染みます。耐久性にも優れていますので、割れたり欠けたりすることがほとんどありません。
陶器と同じでとても滑らかな表面はワイヤーの滑りがよく、ワイヤーが入る溝などの形や構造も歯が動きやすいように工夫されています。表面が滑らかなため汚れが付きにくく、清掃性に優れ、プスラスチックブラケットのように変色したりすることもなく、治療期間中もお口の中が清潔に保てます。
セラミックブラケットの中でも、ジルコニアセラミックという素材でできたブラケットもあります。ジルコニアセラミックは宝飾用の”人工ダイヤ”に使われるほどの硬さと粘り強さがあるため、従来のセラミックブラケットに比べコンパクトで違和感の少ないデザインになっているのが特徴です。また体に対して害がなく、医療分野では人工関節などの材料として使われています。金属アレルギーのある方にも安心して使用できます。
メタルブラケットに比べ、費用はやや割高になりますが、治療期間はほとんど変わりません。
≪セラミック・ブラケットの装着例≫
左→治療開始前、右→治療途中:数ヶ月で前歯の歯並びは改善
左写真:
初診時の状態で前歯がでこぼこです。左上の側切歯(向かって右の2番目の前歯)が内側に入ってしまって下の歯と反対に咬み合っています。部分矯正治療を希望され、上の歯列の一部に矯正装置を装着しました。
右写真:
矯正治療開始2ヶ月、反対の前歯は2ヶ月で改善しました。この後、さらにキレイに並ぶように最終的な歯並びの修正を行います。表側の装置でも目立ちにくいものを選択して使用しています。
<セラミック・ブラケットの特徴>サファイア&ホワイトワイヤー
人工サファイアを使用したセラミック・ブラケットです。透明度が高く、患者さまの歯の色を反映するため、プラスチックやセラミック、ジルコニアのブラケットに比べ、さらに目立ちにくい装置です。さらにホワイトコーティングしたワイヤーを組み合わせたことで、目立ちにくい矯正治療を可能にしました。テレビ番組によく出演しているタレントさんでこの装置を使用されている方もいらっしゃいます。
治療期間は通常のワイヤー矯正と変わりありませんが、幅広い症例に適用でき、金属アレルギーの心配がありません。
≪サファイア・ブラケットの装着例≫
透明度の高いサファイアの装置とホワイトのワイヤーで歯の色に馴染み、とても目立ちにくい装置。歯の動きを重視しつつ、何より見た目を重視をご希望される方にはお勧めの装置です。表側の装置ではこの装置を選ばれる方がほとんど。
(サファイアブラケットを装着した状態)
先日、この装置を着けられた患者さまは、親友と久しぶりに会ったものの、装置に気づいてもらえずちょっとがっかりしたようです。結局、自分から着けていることをお話されたとのことでした。
歯の裏側から装着する“見えない”矯正装置です。舌側矯正(裏側矯正)ともいいます。矯正装置が歯の表側にまったく現れませんので、周囲の人に気づかれにくく矯正ができ、多くの人と接する機会が多い営業職や接客業、タレント、モデルさんといった方に最適です。
クリアブラケットと同様の治療結果を得ることができ、治療期間が長引くことがありません。
なお、患者さまのご要望によっては、上の歯をリンガル・ブラケット、下の歯をセラミック・ブラケットというように、両方を組み合わせたハーフリンガルにすることもあります。
カスタムメイド舌側装置(インコグニト)
金合金を使ったフルオーダーメイドのリンガル・ブラケットです。コンピューターで一人ひとりの歯型・歯並びに合わせてブラケットもワイヤーも作りますので非常に精度が高く、効率よく動かすことができます。
ブラケットの素材として金合金を用いることで通常の金属性のものに比べ、ワイヤーが入る部分の細い溝(スロット)の精度が高いと言われています。歯を効率よく動かすためには装置の構造だけでなくワイヤーが入る溝(スロット)、およびワイヤー自体もばらつきの少ないものが重要となります。装置は歯に密着するように固定するので、外れる心配もありません。
従来の舌側矯正装置に比べると薄く、装着したほとんどの方が慣れてしまうと気にならないとおっしゃるくらい違和感が少ないのも特徴のひとつです。
≪舌側(裏側)矯正装置の装着例≫
治療開始時:
上の前歯が前方へ突出していることと、前歯にでこぼこが認められます。上は前歯を後方へ引っ込めるために第一小臼歯という歯を抜歯しています。
装置を装着して3ヶ月目:
上の前歯のでこぼこは改善し、前方への突出(出っ歯)も改善しています。
左:初診時、前歯が出ています。右:前歯の突出が改善しています。
裏側の装置でも口を開くと装置がついているのがわかりませんか?
とよく聞かれます。
左は口を閉じた状態、右は少し開いた状態です。裏側の装置のため見た目に装置がついているのはまったく分かりません。
<カスタムメイド舌側装置(インコグニト)の特徴>お仕事の都合やライフスタイルの中でどうしても従来の矯正器具に抵抗がある方がいらっしゃいます。そのような方に当院がご提供しているのが取り外しができる“マウスピース型”の矯正装置です。
マウスピース自体は透明なので、装着していても目立ちません。取り外しができるためいつもと変わらない食事をとることができ、歯磨きと歯のお手入れが普段通りに行えます。また簡単に洗浄ができて衛生的です。定期的に新しいマウスピースと交換し、少しずつ歯を移動させていきますので、効率よく歯を動かすことができます。
マウスピース型矯正装置では治療の効率化を図るため症例によってはクリアブラケット、リンガルブラケットを併用することもあります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)
世界中で使われているマウスピース矯正装置で、欧米を含む世界各国で140万人を超える患者さまの矯正治療に使用され、その効果が認められています(2010年12月現在)。
治療前のお口の中の状態を3Dコンピューターソフトで解析し、治療開始から終了までの歯の動きをシュミレーションします。その結果をもとにそれぞれの患者さまの症例にぴったり適合した一連の装置を一括してカスタムメイドで作ります。あらかじめ歯の動きをコンピューター上で予測していますので、効率のいい矯正治療が可能です。
「透明」という選択肢
マウスピース型矯正装置(インビザライン)であれば、透明なので、矯正治療中であっても笑顔を見せることができます。相手に伝えない限り、誰も治療を受けていることに気づかないでしょう。
透明で取り外しが可能なマウスピース型矯正装置(インビザライン)を順次装着することで、きれいな歯並びへと変化を遂げていきます。マウスピース型矯正装置(インビザライン)は約2週間ごとに新しいものに交換します。少しずつ歯が移動するにつれて、理想的な笑顔へと近づいていくことでしょう。
「自分で取り外し可能、しかも快適」
マウスピース型矯正装置(インビザライン)の装着は違和感が少ないので、日頃の多忙なライフスタイルにも支障がありません。矯正歯科医院で受診のたびに、治療の進行状況を確認し、新しいマウスピース型矯正装置(インビザライン)を担当の矯正歯科医から受け取ります。自分で簡単に取り外し可能なので、食生活もこれまで通りです。歯磨きやフロスも全く影響がないので、歯と歯周組織をこれまで通り健康に保つことができます。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)を装着した状態で撮影
装置を入れていることを言わないと他人からは分からないほど、ほとんど目立ちません。
マウスピースタイプの矯正装置にも色々な種類がありますが、その代表的なものとしてはマウスピース型矯正装置(インビザライン)が挙げられます。患者さまの歯型をコンピューターで高精度で取り込み、歯の移動を忠実にシミュレートしたものから装置を製作します。歯を少しずつ移動させた状態の装置を2週間ごとに交換して歯並びを治療していきます。マウスピースタイプの矯正装置の最大の特徴は何よりも取り外せることにあります。飲食時には取り外して使用します。
お仕事の都合やライフスタイルの中でどうしても従来の矯正器具に抵抗がある方には最適と言える装置です。取り外しができるためいつもと変わらない食事をとることができ、歯磨きと歯のお手入れが普段通りに行えます。装置自体が透明なため目立ちにくいことも大きな特徴です。
ですが取り外しができるため使用時間が短くなってしまうと本来予定した歯の動きが得られないといった欠点も生じてきてしまいます。患者さまからよくお聞きするのがお茶の席で装置を外さなければならないことが億劫ということ。またその後、はめずにそのままになってしまい使用時間が減ってしまうということが多いようです。
そのため最近では砂糖の入っていない飲み物であれば、装置を装着したまま飲んで頂いています。糖分の入ったものは装置と歯との間に残ってしまうのでNGです。お茶、コーヒーを頻繁に飲まれる方では歯に着色が生じやすくなるため歯のクリーニングが必須です。
女性の患者さまからは装置を入れているため間食が減りました(笑)ということもよく聞きます。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)・ティーン
また最近では、従来のインビザライン・システムの臨床的利点を備える、10代の患者さまを対象とする新しい治療オプション「マウスピース型矯正装置(インビザライン)・ティーン」が開発されました。以前は永久歯すべてが生え揃っている患者さまが対象でしたが、現在は、犬歯や奥歯(第二大臼歯)で生え揃っていない歯がある方でも治療できます。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)・ティーン治療の利点と魅力
・高い審美性
透明のマウスピース型矯正装置(インビザライン・ティーン)は、装着していても目立つことがありません。従来の固定式の矯正装置と比べて、装着による不快感や見た目を気にすることなく、矯正を行うことができる新しい矯正治療方です。
・快適な装着感
従来の固定式の矯正器具のように口の中または歯ぐきを刺激することがないため、スポーツや楽器演奏など、アクティブに活動する10代のライフスタイルに適した治療オプションです。
・健康な口腔衛生
いつでも取り外しが可能なアライナーは、簡単にお手入れが出来ることで、口腔内を健康な状態に保つことができます。
<マウスピース型矯正装置(インビザライン)の特徴>歯科矯正用アンカースクリューは、表側あるいは裏側のワイヤー矯正治療であくまで補助的に用いる器具です。顎の骨に小さなネジ(歯科矯正用アンカースクリュー)を埋め込み、それを支えとして、歯を引っ張りながら動かしていきます。
主に前に突き出た前歯を後方に引っぱるために多く用います。通常のワイヤー矯正では、前歯を後方へ引っ込める際には奥歯を支えとして引っ張ります。しかしながら前歯を後方へ移動できるのと同時に奥歯は前方へ移動してしまいます。前歯をできる限り後方へ引っ込めたい場合、奥歯が前方へ移動してきてしまうと前歯を十分に後方へ移動できなくなってしまいます。
奥歯の前方への移動を防ぐためにヘッドギアなどの装置や顎間ゴムが使用されてきましたが、治療が効率よく進むかは患者さまがこの器具を使うかどうかに関わっており、使用時間が少ないと医師の思うように効率よく歯を動かすことが困難でした。
そこで歯科矯正用アンカースクリューが開発されました。このネジを骨に埋め込むことで骨に支えを求めることができるので、奥歯が前方に移動してきてしまうこともなく唇から出た前歯を効率的に引っ込めることができます。
よくネジを骨に埋め込むというと患者さまには怖がられてしまうのですが、歯科矯正用アンカースクリュー自体の直径は1.2~1.6mm、長さ4~8mm程度のチタン製の小さなネジです。
矯正治療で歯を抜く際には幅7.5~8.5mm、根っこの長さが10mm以上の大きさの歯を骨から抜くことと比べればかなり小さいものとご理解いただけると思います。実際に埋め込む際の処置もごく簡単なものです。麻酔の量も抜歯時の半分程度です。
またチタンは生体への害がなく骨との親和性も高く、一生涯体内に用いる人工関節などにも応用されている材質です。治療終了後に歯科矯正用アンカースクリューは取り外しますが、麻酔も必要なく痛みや出血もほとんどありません。
補助的な器具ですが歯を効率よく移動できるため治療期間を短縮できたり、患者さまに別な装置使用の協力などの負担を減らすことができます。使用により治療手段に幅ができるため効果的な治療法のひとつです。
すべての症例に必要なわけではなく、使用によってより良い治療結果が望める場合、治療期間の短縮が望める場合、患者さまの日常の負担が減らせる場合などに使用をお勧めしております。
≪実際の使用例≫
矢印の部分が歯科矯正用アンカースクリュー。歯が無くなった場所に人工の歯根として植えるインプラントとは異なり、かなり細くて短いものです。材質はチタンで体に優しい材料です。
写真は表側の装置で歯科矯正用アンカースクリューを使用している状態です。上前歯の突出(出っ歯)を改善する手段として非常に有効です。前歯から歯科矯正用アンカースクリューに透明のゴムがかかっており、前歯を後ろに引っ張り、出っ歯を改善します。
裏側の装置の場合は、裏側に歯科矯正用アンカースクリューを植立します。表側からは見えません。この場合も上の前歯の突出を改善するために用いています。
以前はヘッドギアという装置やホールディング・アーチといった非常に大きな違和感のある装置を使用していましたが、この歯科矯正用アンカースクリューは非常に小さく植えた後はほとんど違和感はありません。
歯科矯正用アンカースクリューはスクリューになっており、顎の骨にネジとして入れていきます。そういうと患者さまは大抵の場合びっくりして引いてしまうのですが、実際は歯を抜くより麻酔の量も少ないですし、処置時間も数分で終わってしまいます。施術後に患者さまに聞いてみると「何ともないです」とか「もう入れたんですか?」などの返事が多いです。
歯を抜くことは誰もがイメージとして想像できると思いますが、ネジを骨に入れるとなるとイメージし難いのでびっくりされて当然だと思います。7~10数mmの幅の歯を骨から抜くことに比べれば、直径1.5mm程度の太さのネジを入れる方が遥かに傷は小さいのです。但し1割弱くらいの確率で骨に上手く固定されない場合や抜けてしまう場合があります。その際は場所を変えて入れ直すことがあります。
歯科矯正用アンカースクリューは、同じ働きをする以前の装置に比べるとかなり小さく、違和感も少なく矯正治療中の患者さまの負担を軽減できる有効な手段です。治療の確実性も増し、治療期間の短縮も図れます。
薬事法で矯正用の治療器具として今年の夏に3つのメーカーのスクリューが認可されましたが、当院でもその認可された歯科矯正用アンカースクリューを使用しております。
<歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正の特徴>矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
未承認医療機器の使用について
●未承認医薬品等の使用・国内の承認医薬品等の有無について
マウスピース型矯正装置(インビザライン®)およびカスタムメイド型リンガルブラケット矯正装置(Incognito®)は、医薬品医療機器等法において承認を得ていない医療機器になります。医薬品医療機器等法の承認を受けておりませんので、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。
インビザラインのサポートソフトであるクリンチェックおよび光学スキャンに用いているこう口腔内スキャン装置iTero Elementは医薬品医療機器等法上の承認を得ています。
●入手経路について
マウスピース型矯正装置(インビザライン®)は米国アライン・テクノロジー社(Align Technology, Inc.)の製品となります。当院ではインビザラインシステムを、グループ会社のインビザライン・ジャパンから入手しております。
カスタムメイド型リンガルブラケット矯正装置(Incognito®)は、米国3M Unitek社の製品です。当院ではグループ会社である3Mジャパン社を通じて入手しています。
●国内の承認医薬品等の有無の明示
マウスピース型矯正装置はインビザラインの他にも様々な種類があり、その中には国内で薬事承認を得ているマウスピース型矯正装置もあります。
リンガルブラケット矯正装置として国内で承認された、Incognito®と同様の医療機器があります。
日本国内で医療機器と認められるためには、薬事承認されている材料を使用して、日本の国家資格を持った歯科医師または歯科技工士が製作したもの(歯科技工物)・薬事承認された既製品である必要があります。海外で製造されているマウスピース(インビザライン®)、リンガルブラケット矯正装置(Incognito®)はあてはまりません。
●諸外国における安全性等の情報
インビザラインは、全世界で800万以上の症例数を持つ治療システムです。(2021年時点)
歯科矯正の一般的な個別のリスク以外でインビザラインに特有の重大な副作用の報告はありません。
Incognitoは世界の90か国以上で採用され、ヨーロッパでのシェアは 60%以上です。(2019年時点)これらの国において、重篤な副作用の報告はありません。