2011/02/14
矯正治療が終了すると装置を外しますが、治療後の歯の位置は最初とはある意味違う位置にあり、歯は少なからず元の位置に戻ろうとします。これを後戻りと言います。
歯と歯は骨の中で非常に弾性のある線維でつながっています。そのためある特定の歯だけを動かした場合でも、その歯の隣の歯も一緒に動きます。治療後の歯の位置は最初とは違う位置にあるため引き伸ばされた線維は少なからず元の位置に戻ろうとします。
歯の移動とともに変化した骨もやはり元の位置に戻ろうとします。
そのため新しい位置で歯の位置も線維も骨も安定させる必要があります。
矯正治療後にリテーナーという装置を使用するのはこれが理由です。
このように歯とその周囲の構造によって後戻りが生じますが、それ以外にも後戻りする原因があります。それは唇を噛む癖、舌を出す癖、爪咬みなどの習癖です。歯並びが悪くなった原因のひとつに習癖が関係していて、矯正治療後にもその習癖があればまた元の歯並びに後戻りしやすくなります。
このような癖は無意識にされていることが多くご本人も気が付いていないことも少なくありません。
歯並びをみると大体関係している習癖がわかるので、問診時にお聞きしながらご自身でも「言われてみれば…」と気付かれる方も多いです。
しかしこの気が付くことが後戻りを防ぐことにとても重要です。
舌による習癖などはトレーニング方法もございます。
意識してそのような習慣・癖を改善していくことで後戻りも少なくできます。
また後戻りを防ぐリテーナーも様々な種類があり、習癖の状態によってリテーナーの種類も選択する場合もございます。
矯正治療に限らず、体が新しい状態に変化すると体は元の状態に戻ろうとすることはしばしば経験することと思います。
変化させた状態(新し状態)をkeepすることは難しいですが、維持するための方法を習慣にできるように頑張りましょう。
2011/02/10
子供と大人の大きな違いに関して、何よりも子供の場合は成長発育の途中であるということです。子供の矯正治療はこの成長を利用できるところにメリットがあります。
顎の骨の大きさを矯正力で促進したり抑制したりすることがある程度可能であったり、特に歯並びの幅を拡大する際には大人よりもはるかに多く拡大できます。
これらが可能なことで子供の場合は成長期の矯正治療で歯を抜くリスクを低くすることができたり、後の治療を楽にできることが多くあるのです。
それに対して大人、成人の場合は骨の成長を利用した矯正治療は期待できないため歯の移動のみによる矯正治療が主になります。
子供のように骨(土台)からの拡大はできないものの歯の移動により多少の拡大は可能です。またIPR(Interproximal enamel reduction)といって歯の隣り合う面を左右0.5mm以内ずつスライスカット(擦り落とし)してスペースを獲得して歯を並べる方法もあります。大人の場合もこのような方法を利用してできる限り歯を抜かない治療計画を考えます。
しかしながらこのような手段を利用しても歯並びを改善できない場合、前歯の突出や受け口を改善できない場合、歯並びだけでなく噛み合わせを良好に保てない場合は抜歯をしての矯正治療をおすすめしております。その判断のために矯正治療に先立って精密検査はとても重要になります。
目的は歯を抜かない矯正治療をすることでもなく、ただ歯を並べることでもありません。上下の噛み合わせを十分に考慮して
①機能的な歯並び・噛み合わせにすること
②それだけでなく美しい口元、顔かたちにすること
③将来的に健康な歯、歯周組織が維持できるようにすること
④これらが出来る限り長期に安定するような状態にすること
が目的です。
2011/02/06

今日はマウスピースタイプ矯正装置の勉強会に参加してきました。
今までにもマウスピースタイプの勉強会に参加してきましたが、マウスピースタイプの矯正装置でもいくつか種類があります。
前歯を主に動かすタイプの装置、前歯も奥歯も動かせるタイプの装置など種類はいくつかあります。
歯並びの状態や、噛み合わせの状態、でこぼこの程度によってタイプを使い分ける必要があります。
またマウスピース矯正装置を単独で使用するだけでなく、奥歯など見えにくい部分にはワイヤーを用いた矯正装置を併用した方が効率のよい場合があります。
歯並び・噛み合わせの状態、程度によってはマウスピース矯正装置が適応でない場合もあります。
装置の種類はワイヤー矯正を含め、装置によってメリットとデメリットがあります。
歯・歯並び・噛み合わせだけでなく顔のかたちを含め現在の状態、装置ごとの特徴、そして患者さまのご希望も含め総合的に判断していくつかの治療方法をご提示させて頂き、お話し合いの上、その中から治療方法・装置を選択して治療を進めさせて頂いております。
矯正治療においてこの部分はとても時間がかかりますが、医療の中でとても重要な部分であると考えております。ぜひご理解の程宜しくお願い致します。
2011/02/03
指しゃぶり、舌を出す癖、唇を噛む癖にしても奥歯が噛んでいても前歯が開いてきてしまうような開咬の状態になってしまうと、さらに次の問題が引き起こされます。
物を飲み込む時は普通、口を閉じて口の中を陰圧(いんあつ)という状態にしないと物を飲み込めません。しかし前歯が開いた状態(開咬)になると開いた部分を舌でふさがないと物を飲み込めないのです。前歯が開いているところに舌をまた挟むので、さらに前歯が開いていってしまうといった悪循環を引き起こしてしまうのです。
子供では成長途中のため症状が悪化しやすく、骨の成長方向にも影響が出てくる場合があります。そのまま成人になってしまうと骨がその状態で固まってしまい、治療は複雑になってきます。
成人でも唇を噛む癖、舌を出す癖がある方は診療をしていると多く見受けられます。
矯正治療をしていて最後になかなか前歯が閉じない事があるのですが、この癖が原因の場合がよくあります。そしてこのような癖があると装置を外した後にまた歯並びが悪くなっていってしまう事があります。
矯正治療をうまく進めるためにも、日常生活上の習慣や癖を意識的にコントロールしていく必要があります。また矯正治療後に後戻りをさせないためにもリテーナーをしっかり使用するとともにこの習癖のコントロールがとても大切になります。
2011/02/01
前回に引き続き、生活習慣や癖の改善でできる歯並びの予防というテーマの2回目です。歯並び・噛み合わせに影響が生じてしまうような生活習慣や癖にはどのようなものがあるでしょうか?
【舌を前に出す癖】
舌を前歯の間に挟んだり突き出す癖があると舌の押す力で前歯が上下とも出っ歯になったり、前歯が咬み合わなくなる開咬を生じたり、前歯に隙間が出てきます。発音にも影響が出てくる場合があります。
本人は無意識のうちにしており、周りの人も気づきにくいことが多いです。奥歯を噛み合わせた状態で上下の前歯が咬み合わないようであれば既に開咬の状態です。早めの対処をお勧めします。
【爪咬み】
爪を噛む癖が持続すると歯が摩耗したり、でこぼこが生じることがあります。
爪を噛む頻度や咬み方によって症状は異なってくると思われます。
【口呼吸】
鼻での呼吸(鼻呼吸)が困難になると、その代わりとして口を開けて息をするよう(個口呼吸)になります。鼻呼吸が困難になるような状況・病気としてはアデノイド、口蓋扁桃肥大、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻中隔彎曲症などがあります。
口呼吸が持続すると前歯が出っ歯になったり、前歯が咬み合わない開咬になったり、上の歯並びの幅が狭くなります。とくに成長期では骨の成長方向や顔かたちにも影響してきます。
鼻の病気は歯並び・噛み合わせに影響を与える場合が多くあり、耳鼻科の受診もお勧めしております。
【寝ぞう】:睡眠態癖(すいみんたいへき)
睡眠中の姿勢がいつも同じ向きの場合など、顔の発育・歯並びの形態に影響を与える場合があります。とくに気をつけなければならないのがうつぶせ寝です。頭は人の体の中でも重いため、うつぶせ寝でいつも同じ方向を向いて寝ていると顔が歪んできたり、歯並びの形が左右非対称になってきたりする場合があります。
成人では骨の成長は終わっているため顔の歪みなどは生じないと思われますが、左右どちらかの歯並びが内側に倒れてしまったり、顔が圧迫されて歯ぐきの血流が悪くなり歯周病のリスクが高くなるという報告があります。
いつも同じ方向を向いた睡眠姿勢は避けた方が望ましいです。